椎名くんは飲ませない

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 私がそんな妄想を口にすると、椎名くんはため息をつきながら首を振った。 「忍者だなんて色気もクソもあったもんじゃない……。どうせ命を狙われるなら、セクシーな女スパイ……フジミネコみたいなやつがいい」 「フジミネコかあ。私に務まるかな?」 「身の程を知れ……! フジミネコのスリーサイズは奇跡のゾロ目で上から99.9、55.5、88.8なんだぞ……! 藤川が今からいくら鍛えようとしてもあの奇跡の数字には絶対になれない……! それこそプロポーションを変える薬をお前自身が飲まなくてはいけないことになる……!」 「うっせえわ。余計なお世話だわ」  なんで椎名くんの風邪のお見舞いに来て私がセクシーな体になるための薬を飲まなきゃいけないんだ。 「椎名くん、案外元気だから薬なんか飲まなくても勝手に良くなるんじゃない?」  いじけ半分、からかい半分に私がそう言った時だ。  椎名くんの腕がベッドからはみ出て、ダランと揺れた。  骨がなくなったみたいな力の抜け方だったから、私はちょっとドキッとした。 「椎名くん……?」  椎名くんは真っ赤な顔に汗を浮かべて、苦しそうに目を閉じていた。    
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