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「あちきにも見せておくんなまし」
花里太夫に言われて、高津屋は人魚の桶を太夫の方に回してやる。
「あれまあ、可愛い人魚でありんすなあ」
花里太夫はうっとりと人魚を眺め、「旦那様、もう少しこのままで」と甘えたように言う。
「よいよい。では現世に戻るときに川に返してやりましょう」
高津屋は太夫の好きにさせた。
「こんなに面白い釣りは初めてだ。新さん、私は大満足だよ。約束通り、礼ははずむよ」
そのあとも次々珍しい魚を釣り上げ、かなりの釣果に満足した様子の高津屋は、そう言って新伍を労った。
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