怪しい薬屋

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怪しい薬屋

ねえお客さん。この薬、買っていかない?今ならなんとたったの100円!こんなに安い薬はそうそうないよ。ほら、買った方がいいよ、こんなにお得なんて珍しいんだ。  これを飲めば、不老、無病、そして永遠の美が手に入る。  若いお客さんなら欲しいはずだ!ここだけの話、他に買った方も、全く老けていないんだ!  あ、買ってくださる?ありがたい!本当にありがたい!!ありがとうお客さん。  さ、早く飲んで。この薬、早く飲んだ方が効き目がいいんだ!  飲んでくれたっ…!!  あぁ、ようやくこの役目が終わって解放される…!! え、なんでそんなに喜ぶのか?だってこの薬、一度飲んだら、同じ薬を違う人に売らないと、延々に働かされ続ける指命があるんだよ。僕、たしか50年前から売り続けていたね。たしかその時20歳だったから…今の本当の年齢は70歳だね。でも、ほら見た目は20歳でしょ? 嘘つき?変なこと言うなよ。僕、嘘は言ってない。現に、老けてないし、売ってる間病気もしていない。それに、肌のハリもツヤもすごくいい。そのかわりずっと、自殺すらもできないけどね。 ま、こんなこと、今からずっと売り子になる君には教えなくていいか。 んじゃ、またね、お若いの。
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