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「あぁ。うまい。普通のものは食べられないけど、人間の肉はすごくいい匂いがしたんだ。これなら食べられるかもしれないと思った」
柔道部の生徒はしっかりとしか声色で答える。
別に、本人の意識がないとかそんな状態ではないみたいだ。
知らない間に自分の喉がゴクリと音を立てていた。
「いつから、そんな状態なの?」
「昨日かな? 朝はそうでもなかったけど、昼を過ぎたくらいからすごい空腹感があったんだ。だけどどんな匂いをかいでも美味しそうに思えない。吐き気がするくらいだった。唯一まともに口にできたのは水だけだったんだ」
「水だけ……」
やっぱりこの人も感染者なんだ。
そう理解すると全身が寒なっていって、両手で自分の体を抱きしめた。
廊下を汚す血の匂いが自分の食欲を加速されせているのがわかる。
だけど私はそれに気が付かないふりをした。
人肉が美味しいなんてそんなこと、絶対にありえない!
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