夏のアイスは気温次第

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夏のアイスは気温次第

 大学の二年目の夏休み、単位の為に牧場実習へと向かった。大学の夏休みは八月と九月だが、八月の真ん中辺辺りに実習をしたので、小中学校側の夏休みと丸被りだった。つまり、実習先が観光もやっている牧場ならば、子供がやってくる。  むしろ、大人もやって来る。と言うか、牧場は子供だけでは向かえないような場所にある。公共の乗り物があるならいざ知らず、それが無いならば運転免許を取れない年の子供は、そう簡単には牧場には来られない。実際問題、私も実習先には最寄り駅で待って、車で迎えに来て貰うしかなかった。運転免許証を取得していても車を持たない人はザラに居る。学生となれば尚更だろう。  そんな訳で、テレビのロケにも使われる牧場で実習をした。とあるバラエティ番組のロケで、「出演者が牧場に車で向かう道中に食べたアイス」が、そのファンによって売り場から消えたそうだ。元々、人気のあるアイスだが、夏も終わった時期に放映されたのにも関わらず売り場から消えたそうだ。  そして、それを他のファンが知り、写真を取って報告するレベル。そんなにも、推しが食べた物が食べたいのか……ファン以外からしたら、分からない世界だが良くある現象である。レトルトカレーや鍋の元も消え去る。そして、その報告が写真と共に上がる。  求肥や最中に包まれたアイスならば、溶けても最中が幾らかを受け止める。それでも、夏場のアイスは、内陸部等の暑い地域ならば溶けとの勝負だ。だが、乳牛を飼育している牧場は比較的涼しい。そうでないと、乳牛が体調を崩しやすいからだ。北海道で酪農が盛んな理由もそこにある。  そして、比較的涼しいとは言え、あくまでも比較的なので「牧場で絞った牛乳でつくたソフトクリーム」が売れる。特別感があるのか、結構売れる。
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