白球の行方

7/7
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「慎ちゃん!」  私は慎ちゃんの腕を揺すった。  慎ちゃんは泣いていた。  あのときのような悔し涙ではない。 「俺を超えて、夢を叶えてくれたなあ」  慎ちゃんは泣き笑いを浮かべていた。 「今年の夏は長かったな」 「うん。翔太やってくれたね。甲子園で優勝。こんな嬉しいことないね」  悔し涙の慎ちゃんも。嬉し涙の翔太も。空に負けないほど眩しい、私の大切な思い出。  いつの間にか蝉がつくつくぼうしの鳴き声に変わっていた。今年も大好きな夏が終わる。                                       了
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!