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「慎ちゃん!」
私は慎ちゃんの腕を揺すった。
慎ちゃんは泣いていた。
あのときのような悔し涙ではない。
「俺を超えて、夢を叶えてくれたなあ」
慎ちゃんは泣き笑いを浮かべていた。
「今年の夏は長かったな」
「うん。翔太やってくれたね。甲子園で優勝。こんな嬉しいことないね」
悔し涙の慎ちゃんも。嬉し涙の翔太も。空に負けないほど眩しい、私の大切な思い出。
いつの間にか蝉がつくつくぼうしの鳴き声に変わっていた。今年も大好きな夏が終わる。
了
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