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恋のはじまり
恋する女の子は可愛い。女の子は皆可愛いけど、恋をすると更に可愛くなる。
おおっぴらに公言する子、密かに思っている子、いろんなタイプがあると思うけど、恋にソワソワして波乱万丈な毎日を送っている子は私には、輝いて見える。
「優花さ、まだ好きな人いないの?」
愛莉ちゃんが、日に焼けた腕をグイッと前に突き出しながら聞いてくる。
毎度同じ展開になるのはわかっているだろうに、まだ聞くか。
「うん。いないよ」
こんなに平穏な日々を送っている私が恋をしているわけがないじゃないか。
「いつもそう言うけどさ、ちょっといいな、と思う人いないの?」
私の隣に座る紗英ちゃんも、ちょっと身を乗り出して聞いてくる。
「うちのクラス、結構カッコいい人多いじゃん? 竹内とかさ、原田とか、渡辺くんとか、リュータとか。どう?」
愛莉ちゃんよ、「どう」って一体なんなのさ。まあ、確かにうちのクラスは何故かイケメンが多い気がする。
だがしかし、イケメン=恋なのか? 私は彼らを見ても、小説や漫画のヒロインのようにドキドキしたりすることはない。
ちなみに私の2人の友達には、それぞれちゃんと好きな人がいる。
愛莉ちゃんには、3月から付き合っている颯佑くんという彼氏がいる。
4月からは違うクラスになってしまったけれど、放課後毎日どちらかの教室の前で待ち合わせて一緒に部活に行く姿は、もう見慣れたものだ。
紗英ちゃんは、同じクラスの坂本くんのことが好きだ。まだ付き合ってはいないけれど、仲の良い二人を見ていると時間の問題なんだろうな、と思う。
私は二人が羨ましい。
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