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嫌なのに
第二性。
そんなものが認知されるようになって、男女の性別の他にDom/Subといういわゆる“ダイナミクス”というものも隠さない人が増えてきた。
Domは“支配したい”、“甘やかしたい”、“守りたい”という欲求を持ち、Subは“服従したい”、“褒められたい”“守られたい”という欲を持つ。
これはいわゆる性嗜好とは異なり、うまく欲が発散されないと自律神経の乱れなど、心身の不調を引き起こすことになる。
そのため、その欲が発現し始める前の小学校卒業と同時に検査がされるようになって、俺、周防航生はSubだった。
ダイナミクスを持つのは一割にも満たないのに。
どちらでもない一般的なNormalではないとわかった時の絶望。
しかも、まさかのSub。
そんな誰かに支配されるのも甘えるのも俺は絶対に嫌だ。
だから、薬で抑えていたのだが、最近はその抑制剤の効きも悪い。
「これ以上の服用はむしろオススメできない。嫌なのはわかるが、いい加減Sub性を認めてパートナーを作りなさい」
医者に言われた絶望的な言葉。
そんなの……絶対に嫌だった。
俺はSubなんかじゃない。
思いつつ、ズキズキと痛む頭を押さえた。
治まらない頭痛。
イライラしてうまくいかない仕事。
眠れない日々。
これらの不調はダイナミクスのせいなのかもしれない。
だが、パートナーを作ってプレイをしてもらうのはどうしても嫌だった。
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