同じ名前のわたしたち

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 わたしたちは、名前が同じ「れん」ということもあり、小学生の頃まではとても仲が良かった。いつも一緒だった。  バスに揺られて一時間弱。町の公民館でわたしとお母さんは降りた。お父さんは予定があるとかで、後で合流する。まあ、今はどうでもいいことだ。  白い車から、女性が出てきた。あの人が怜のお母さんだろうか、と思っていると、お母さんと女性が手を振り合う。ほっとすると同時に、少し老けたなと失礼なことが頭に浮かんだ。  「二宮さん、今日はありがとう!」  「気にしないで一条さん。いいんですよ、これくらい。」  お母さんたちが話している中、車に近づくと、後部座席にツインテールの女子。わたしの姿を見つけると朗らかな笑みを浮かべて、手を振る。わたしは手を小さく上げる。  「久しぶり~」  「うん。久しぶり」  と、わたしは後部座席に座る。助手席にはお母さんが座り、ママ友トークが始まっていた。  「恋は、すっかり都会に染まったねー」  何を見てそう感じたのだろう。わたしは苦笑する。  「怜こそ、なんか服装が今時のギャルっぽい」  「本当は、髪も少し染めたい」  キリッと真顔で話す怜。いつの間にか、すっかり変わったなあ。もうあの頃とは違うのだ。時間の流れをひしひしと感じる。「わたしたち」はあの頃にはもう戻れない。  「お昼、そうめんと天ぷらだから」  「いいね。じゃあ、それを食べ終えたら」  「……そうだね」
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