同じ名前のわたしたち

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 「蓮の私物だ」  もしかして、捨てられなくて倉に保管していたのだろうか。どうしよう。なんだか声をかけにくい。蓮のお母さんと憐は入り口付近で談笑していた。  「……」  思わず、蓮の私物に手が伸びる。手に取ったのは、夏休みの宿題の一つだった、一言日記だ。学年から察することができた。これは蓮が亡くなる歳の時の物。わたしはページをめくる。すると、予想外の内容が記されていた。  『明日。恋に好きだって伝える』  「えっ?」  蓮は、わたしのことが好きだったの……?  『逃げ道をつぶすために日記に書いたけど、今日もダメだった』  確かに、告白されたことはないと思うけれど。わたしは日記を読み進める。  『今度こそ、気持ちを伝える』  『今日はなんだかぎこちなくなっていたかもしれない』  『今日もうまくいかない。でも恋の水彩画を見られて嬉しい』  こんな風に、思っていたんだ。蓮の気持ちを知ると同時に、告白がついに叶わなかったことを理解する。亡くなる日の時も、わたしなんかを想ってくれていたのだろうか。虚無感と悲壮感が胸を支配した。
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