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司道は容赦をしない。
「勝手に辛がってろ! バーカ!」
「あたし達は世界征服を企む組織なんですよ? 誘拐なんて何とも思ってないのですよ!」
ラムフォリンクスは司道を睨みつけた。このままでは後ろ脚に捕まるか、あの歯の生えたクチバシに挟まれて竜王のトコに連れて行かれてしまう。
さて、どうしたものか。司道がそう考えた瞬間、アソシエーションピッケルのことが頭の中に過ぎった。
しかし、アソシエーションピッケルは昨日家に持ち帰ってクローゼットの奥深くに入れっぱなしだ。だが、司道は「呼べば来る」ような気がし、天に輝く太陽を掴むように右手を大きく上げた。
「こい! 俺のアソシエーションピッケル!」
現在、白亜家の司道の部屋のクローゼットの奥にアソシエーションピッケルは仕舞われている。すると、司道の叫びに呼応するように持ち手のディスプレイが激しく緑の光を放った!
アソシエーションピッケルはクローゼットの扉を突き破るように激しい勢いで飛び出し、流星のように空を駆け抜け、司道の正面へと舞い降りるのであった。
鳴子は突如現れたアソシエーションピッケルを見て全身を震わせながら、小さな声で「やはり、魔王……」と囁いた。
司道はアソシエーションピッケルを手中に収め、大きく振りかぶりながら叫んだ。
「こい! 俺の仲間! ティラノサウルス!」
司道はピッケルの先端を地に向かって振り下ろした。大きな罅が生まれる。
罅は巨大な亀裂となり、その奥底から屋上全体を照らすような光が溢れ出た。
その光と共に、天が裂け地が割れるような咆哮が聞こえてきた。
屋上のフェンスが全て咆哮の衝撃で台風の風を受けるかのように激しく揺れ動いた。
光り輝く亀裂の中より現れるものがあった。
ティラノサウルスが屋上に降臨した。ティラノサウルスは威嚇するかのようにラムフォリンクスを鋭い目つきで睨みつけた。
鳴子は青ざめた顔をしながらラムフォリンクスに指示を出した。
「飛びなさい! 地上にいたら噛まれるだけよ!」
ラムフォリンクスは上空に飛び上がり待機し、ティラノサウルスを見下ろした。
司道はこれ以上は関わりたくないとして、一気に勝負を決めに行った。
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