鍵穴にハマる瞬間 (一華side)

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鍵穴にハマる瞬間 (一華side)

 待ち合わせのカフェは、北欧調のアイテムが並ぶ爽やかで癒される緑の空間。  トクトク トクトク―――踊る鼓動。  ちょっと早く来すぎたかしら?  思っていた以上に浮かれている自分に気づいて、一華(いちか)はヒールの音を潜めた。  静かに深呼吸。  久しく忘れていた感覚に触れて、そっと噛みしめる。  良かった。私、()だ失っていないわ。  ときめく心を。  マッチングアプリで知り合った彼との初顔合わせ。  もう三年もご無沙汰だったデート。  今日こそ、最後のピースをはめるのよ!  にふさわしい  完璧な彼氏(スーパーダーリン)をゲットするんだから!
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