ほんのちょっぴりSS

4/4
1625人が本棚に入れています
本棚に追加
/160ページ
すんなりと外に出たクニチカに続いて、私も外に出たんだけど 「ごめんね…なんかしもっちゃんとかきぃちゃんとかのペースになっちゃって…」 申し訳ない気持ちがちょっぴり沸き起こる。 「いい、いい。ノープロ。これって俺も人数に入ってたよな?」 クニチカはニカッと笑いながら1枚のお札をヒラヒラとさせた。 「ん」 「だよな。怒られているようで、大丈夫だと言われているようだね」 ああ…やっぱりクニチカは大人ちっくだ。 「クニチカ」 「うん?」 「それ、二人で使っちゃお」 「はっ?」 私の言葉に、それまで穏やかだった彼があたふたする。私は両手でお札をピンと持つクニチカに 「あんなところで正座させられて大人しくしていられる?アタシはムリ」 とビシッと言い切った。するとクニチカはフッと笑って小声で言った。 「やっちゃう?」 「ん」 そうこなくっちゃ。私は背中にあるドアを開けると 「しもっちゃ〜ん、お小遣いありがと。正座疲れの分、パーッと遊んでくるね。ご飯は知らない、要らない。行ってきます!」 一気に言ってからゆっくり閉まるドアを押して閉める。同時にクニチカが反対の手を繋いで 「逃げろ」 笑いながら私を引っ張り走り始めた。 「やっぱり走ってる」 「だな」 私達は二人で手を繋いだまま、笑い合って走り続けた。そのペースは何とも心地よく、繋いだ手の温もりと大きさもどこまでもずっと、ドキドキと心地よかった。 【完】
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!