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すんなりと外に出たクニチカに続いて、私も外に出たんだけど
「ごめんね…なんかしもっちゃんとかきぃちゃんとかのペースになっちゃって…」
申し訳ない気持ちがちょっぴり沸き起こる。
「いい、いい。ノープロ。これって俺も人数に入ってたよな?」
クニチカはニカッと笑いながら1枚のお札をヒラヒラとさせた。
「ん」
「だよな。怒られているようで、大丈夫だと言われているようだね」
ああ…やっぱりクニチカは大人ちっくだ。
「クニチカ」
「うん?」
「それ、二人で使っちゃお」
「はっ?」
私の言葉に、それまで穏やかだった彼があたふたする。私は両手でお札をピンと持つクニチカに
「あんなところで正座させられて大人しくしていられる?アタシはムリ」
とビシッと言い切った。するとクニチカはフッと笑って小声で言った。
「やっちゃう?」
「ん」
そうこなくっちゃ。私は背中にあるドアを開けると
「しもっちゃ〜ん、お小遣いありがと。正座疲れの分、パーッと遊んでくるね。ご飯は知らない、要らない。行ってきます!」
一気に言ってからゆっくり閉まるドアを押して閉める。同時にクニチカが反対の手を繋いで
「逃げろ」
笑いながら私を引っ張り走り始めた。
「やっぱり走ってる」
「だな」
私達は二人で手を繋いだまま、笑い合って走り続けた。そのペースは何とも心地よく、繋いだ手の温もりと大きさもどこまでもずっと、ドキドキと心地よかった。
【完】
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