そうだ、宇宙へ行こう

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もはや地球上に人間が作り出したゴミを捨てる場所はなかった。 大半の人類が反対をしたが、大半の人類が賛成した為に、行き場を失った廃棄物は地球外に打ち出されることに決まった。 賛成派は「そうだ、宇宙へ行こう!」というキャッチフレーズで意気揚々と作業を進め、様々な廃棄物を ―特に人類にとって危険な物質は優先して― 詰められるだけ詰めこんだ巨大ロケットは地球から打ち上げられた。 打ち上げは成功。 廃棄物は地球の遥か彼方へと去っていった。 人間たちもバカではなかった。 それからの人類は徹底的に環境に配慮した社会を築き、自らを脅かす様な廃棄物を生み出す事はしなかった。 時は過ぎ、人類の存亡をかけた一大事業について、人々の記憶も薄れてきた頃、当のゴミはというと、まだ宇宙を飛び続けていた。 そしてそれは加速を続けていた。 宇宙空間で何が起こったのか知るものはないが、加速に加速を重ね、設計者も思いもよらぬ速度を超え、光速を超え、過去へと突き進んだ。 恐ろしいほどの時を貫いた。 そして、いつしか巨大爆発を起こす。
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