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スマホに向かって盛大なため息をつくと、隣の席のいくちゃんがポンポンと私の肩を叩く。
今は講義中で私といくちゃんは後ろの席に座っている。
ノートの端っこにいくちゃんが何かを書く。
『速水さん?』
その文字を見て頷いた。
『図書館の事?』
また頷く。
『まだ確認していないの?』
頷こうとしたタイミングでスマホがブルブルと震える。
なんと、待ちに待った速水さんからの電話!
でも、講義中だから出られない。速水さんの名前が表示されているのに出られないとは、極寒の中で滝行をしているみたいに辛い。今すぐ、講義室の外に駆け出したい。しかし、今日の講義に出なければ単位を落す。選択科目だったら捨ててもいいけど、必修科目は落とせない。学費を出してもらっている身、四年で絶対卒業しなければならない。
速水さん、ごめんなさい。他の講義だったら絶対に教室を出て、電話に出ました。本当にごめんなさい。
スマホに表示される速水さんの名前に向かって深く頭を下げ続けていると、点灯していたスマホの明かりが消える。
電話が切れたんだ。本当に速水さん、ごめんなさい。
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