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第一章 隊長様は男性がお好き?
キュッ、キュッ。
蛇口がかわいい音を立て回った。
シャーーーー。
グラスに入れ明かりに向けた、綺麗な水。よしよし、調子は良さそう。口に含んでぶくぶくベー。もう一回口をすすぎ、残った水で歯ブラシをすすぐ。
カランといい音を立て、ステンレスのコップに歯ブラシが入る。そこには色とりどりの歯ブラシが五本も入っている。
腕まくりをして、水に手を入れた。
ジャバジャバ。
井戸水は冬ぬるく夏冷たいと聞いたけど、さほど冷たくはないなと思いながら顔を洗う。
人が横に立つ気配、歯ブラシをとり、歯磨き粉をつけ歯を磨き始める音がする。
「ふー」
タオルを手に取ろうと思ったら、ン。という短い声。
その声をたどると190を超える大きな金髪の男性のきれいなブルーの目に惹かれる。
少し躊躇した。
「ありがと、どうぞ」
ああ。
「おはよう!」
栗色の天パの女の子。
「おはよう」
あくびをしながら挨拶する男の子も並びます。
異世界での朝は、向こうの世界と何ら変わることなくスタートする。仮の家族。
そして、この家だけの不思議なものたち。
ピー!と高い音を立てるヤカン。
チン!といい音を立てるオーブントースター。
シャーと音を立て出る水音は水道。
そして食卓にそろった人たちが両手を合わせる。
食事前の儀式。
「いただきます」
「「「いただきま-す!」」」
案外、私はこの世界を、楽しんでいます。
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