24人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「莉子ー。起きてらっしゃーいっ」
階段下からお母さんの声が聞こえてくる。
うーん……。動かなくちゃいけないのは、わかってるけど。
そう思いながらも、ごろん、ごろん、とベッドの上からは離れられない。
トントン、と階段を上がる足音が聞こえる。
え? 起こしに来たの?
いつもならこんな早くに起こしにくることないのに。
「莉子。起きて」
ノックもせずに部屋に入ってきて、私が抱え込んでいたタオルケットを引っ張る。
「なんで? 今日は夏休み最後の日曜日だよー。もうちょっとゆっくり寝たっていいでしょ?」
「そうもいかないのよ。今日ね、あやちゃんを預かることになったの」
「あやちゃん?」
あやちゃんとは、隣の家に住んでいる小学一年生の女の子。
ちっちゃい頃から「莉子ちゃん」と呼んでくれて、仲良くしているかわいい子。こんな妹いたらいいな、なんて思っちゃうくらい。
学校があるときには一緒に登校班で通っているし、毎日顔合わせていたけど、夏休みに入るとあやちゃんは学童に行っていることもあって、隣といってもなかなか会えない。
「なんで? あやちゃんち、どうかしたの?」
なんとなく気だるかったのに、一気に目が覚めて体を起こした。
「あやちゃんのおばあちゃんね、遠くに離れて住んでいるんだけど、転んで骨折しちゃったんですって。で、お母さんがお世話するためにそちらに帰っているのよ」
「そうなの? 大丈夫なの?」
「そうね。おばあちゃんの様子はだいぶ良くなってきたみたいよ。もう夏休みも終わっちゃうし、明後日にはこちらに帰ってくるみたい」
「そっかぁ。よかった」
最初のコメントを投稿しよう!