MITSUKI

2/19
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
 不思議な雰囲気を纏った彼女と出会ったのは、海岸線沿いにあるシーフードレストランだった。  偶然、隣りに座った彼女から香る甘い香りは、20代前半と思える彼女には似合っている香りだった。 「お客様。お待ち合わせのお相手は?」  カウンターに座る俺に店員が話し掛けて来た。  腕時計に視線を落としてから、「お邪魔かな?」と聞き返した。 「いえ。ただ、待ち合わせと言われて、すでに2時間もお一人なので」  もう一度腕時計を見る。 「そうだよね。2時間も経ったのに・・・。ドタキャンされたようだ」  椅子から腰を上げる。 「あのぉ、もし宜しければご一緒させてもらえませんか?」  それが彼女だった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!