9 6月24日・呪いの制限

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 目の前で、狭霧にも写真を送ったのだと言って、結花は罪悪感の欠片も見せずヘラヘラと笑っている。  一瞬、身体が固まったかのように動けなかった。  結花の言葉が頭の中で、ぐるぐると回っている。 「ほんと、信じられない」  他の部員たちが呟き、狭霧に同情的な目を向ける。 「いつだ? いつ送った!」  結花はあごに人差し指を添え、うーんと考える仕草をする。 「一昨日の……22日だったかな。22日の深夜、12時過ぎくらい」 「おまえっ!」 「待って、龍樹」  結花に掴みかかりそうになる龍樹を、狭霧はとどめた。 「日野さん、本当に私に写真を送ったの? 他の誰かと間違えてない?」  結花は訝しむように首を傾げる。 「送ったよ。狭霧のLINEにね。すぐに既読がついたけど、ちゃんと見なかったの? てか、その様子だと、今日初めて知ったっていう感じだよね。ほら」  と言って、結花は狭霧にスマホを見せた。  確かに、結花の言う通りであった。 「そんなはずは……」  力が抜けたかのように狭霧は椅子に座る。
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