おかあさん、お話を聞かせて

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おかあさん、お話を聞かせて

   ある晩のことだった。  今宵の星空はいつもより星の数が多く、ひとつひとつの星が美しく光り輝いていた。白い星、赤い星、青い星、それぞれの輝きは真っ暗な夜空を飾り、まるで夜空全体が一つの宝石箱のようだった。  とてつもなく広い夜空の下には丘があり、その上には家が一軒佇んでいた。その家の母親と幼い娘は、同じベッドで眠りにつく頃だった。  「おかあさん」  幼い娘が隣で横になっている母親に声をかける。瞼を閉じかけたばかりの母親はそっと娘に微笑みかけた。  「どうしたの、眠れないの?」  娘は躊躇いがちに頷いた。寝たばかりの母親を起こしてしまったことを申し訳なく思ったのだろう。しかし、母親は気にすることもない様子で娘の頭を撫でた。  「じゃあ、お母さんがお話を聞かせてあげる」  母親がそう言った途端、娘の表情は花が開花するかのようにパッと明るくなった。娘は母親の話すお伽話や物語が大好きだった。  娘は早く話してくれることを催促する代わりに、母親を見上げ、星が散りばめられたかのように輝く瞳を見せた。  すると、母親の腹がピクリと振動した。母親は柔らかく微笑みながら腹をさすった。  「あなたもお話が聞きたいのね」  そして、母親は一つの物語を語り始めた。それは、二人の英雄の物語。
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