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「そう……母さん、あなたが本気でそんな事を言ってくるとは思ってなかったわ。本気で頭が悪くないと出てこない発言よ。それ」
「母さん、止めないでくれ。もはや僕には、この選択肢しかないんだ。よろしくお願いしますバブゥ」
「いや気持ち悪っ。私のお腹に帰るくらいなら死んだ方がマシレベルよ今のあなた」
母さんは、呆れたようにため息をついた。
おかしな事を言っているのはわかる。けれどもう限界なんだ。
もはや自分の人生に、期待できない。
このまま勉強したって、全てが無駄になる気がする。
だったらいっその事、母のお腹でやり直したい。
そんな僕の本気の思いに気づいたのか、母は本気で嫌そうな顔をしながら、僕の肩に手を置いた。
そしてそのまま、自身のお腹に指をやり、「もういるの」と、何やらよくわからない事を告げた。
「……? え、ご懐妊?」
「違うわ。……二人とも、翼が帰ってきたわ。返事してちょうだい」
そう言うと、母のお腹から【は〜い】【何だ翼。帰ってきてたのか】と、聞き馴染みしか無い声が返ってきた。
父さんと、それに妹のユキの声だった。
驚愕のあまり、声も出せずに震える僕へ、母さんは頭を抱えながら言った。
「さて、家族全員揃ったところで……始めましょうか。家族会議を」
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