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【第一話】
僕の名前は田中翼。
今年で20になる、大学受験に二度も失敗した、もはや浪人生でも何でもない生きる屍である。
掲示板に張り出された合格結果。
何度見ても番号が無く、気がついたら周りには誰もいない。
一人、茫然と立ち尽くす僕は、ただただその現実に打ち拉がれ、その場から動く事ができなかった。
あり得ないと思った。しかし同時に、「やっぱな」という感情も浮かんできた。
というのも、僕は元々頭が悪く、通っていた塾の講師から「マジで、本気で一回さ。お母さんのお腹の中からやり直してきたら?」と言われる程には頭が悪かった。
友達からは「とり頭」とバカにされ、妹からは「なんかキモい」と言われ。(これは頭の悪さは関係無い)
友人からも、家族からも見放される程の馬鹿。
そんな馬鹿である僕が大学受験なんて、そもそもが間違っていたのかもしれない。
と言っても、今更気付いたところで後の祭りだ。
僕は深く息を吐いてから、帰路につく。
そしてその帰り道の途中、僕は一つ心に決めた事を実行する決意を固めた。
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