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『あ、河村先輩待って!私も帰る!
途中まで一緒に…』
席を立ったら、斜め向かいの倉部さんが慌てて書類を片づけながら中腰になってる。
『待ってるからゆっくり片付けていいよー。』
再び席に座って、ボンヤリ彼女を見ていた。
2歳年下の倉部さんとは同じ私鉄で降りる駅が近く、よく一緒に帰る。
同じ部署というだけで特に仕事を教えるなどの関わりは無かったが、ある事がきっかけで仲良くなった。
私とは全然違うタイプなのに、仲良くしてくれるのは何でだろう。
彼女は惚れ惚れするくらい行動力に溢れ、かなりサバサバしている。
ハッキリとした顔立ちの美人さん。
お酒も強い。
私も強いけど負けたと思っている。
よく《私、男っぽくてサバサバしてます》って言う女性がいるけど、そういう人に限って実は一番女性らしかったりする。
ギャップに陥落する男性も多くて、そのセルフプロデュースも尊敬するけど、倉部さんは裏も表もなくずっと同じで、それも尊敬するし安心する。
いつもサバサバしてるだけにキツく聞こえる発言もあるから敬遠されがちだけど、私はブレない芯があって好き。
社内恋愛を公言している。
潔さもカッコいいなと思う。
私はというと28歳にして、良くも悪くも普通。
普通よりウジウジ悩む方かしら。
まだショックから立ち直ってないしね…。
『お待たせしました!』
声を掛けられてハッとした。
『はいはーい。』
まだ残っている人達にお疲れさまでしたー!と挨拶して部屋を出た。
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