今更元の世界に戻っても困る程の期間

1/5
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

今更元の世界に戻っても困る程の期間

 いきなりの異世界召喚から、感覚的には半年程経っただろうか。とにもかくにも、人間は慣れる生き物なのだと実感させられる。元の世界には、道を歩けばスマホ中毒者が居た。片時もスマホ画面から目を離せないスマホ中毒者が居た。物心ついた頃からスマホが有った若者なら手放せないのも分かる。だが、老若男女問わずスマホ中毒になるのが厄介だ。  ただでさえ杖をついて歩く様なハンデのある人のながらスマホ、あれは更に転んで両手を怪我したいドマゾなのかと思った。前も見なければ、片手にはスマホ、もう片手には杖。何故、歩行の補助に杖が必要な体で、両手を塞ごうとするのか。それも、ながらスマホをする為に。  小さな子供を後ろに付いてこさせて、自分はスマホ画面に夢中な親も理解し難い。せめて、子供が自分より前に居るなら視界には入る。だが、人間の視界では後方に居る人、特に幼児の身長ではスマホを見ていなくとも目視は出来ない。良くもまあ、あんなに危険な行為が出来たものだと思っていた。それらのストレスが、異世界召喚をされてから一切無くなった。もとい、通信手段が異なっている。物理的に運ぶ手紙や小包の他に、魔法による通信手段もあるにはある様だ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!