ゆずハニー

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「ゆずハニー」 俺は一ノ瀬凛(いちのせりん)という名前で日下部柚葉(くさかべゆずは)の幼馴染だ。 1学年上の俺は幼児期からいつの写真もどの写真にも隣に柚葉が、どこへ行くにも柚葉が隣に居た。 家が隣にあり親同士も仲が良く父親の仕事先が同じということもあり家族ぐるみの付き合いをしてきている。 母親同士は親友か姉妹のようで、それぞれ夫の愚痴から子育ての相談などなんでも言い合える仲をしている。 兄弟の性別は違えど子供の人数も同じ。 俺達子供は、年を取るにつれてお互いに一時的に恥じらいや遠慮が出てくるが、お互いの家を行き来しあう中で、 「どっちがうちの子かしら」 と母親達が頬に片手を添えて冗談で困惑した表情を浮かべると、遊びで別の家の子供が挙手をしたりもするので、その日は挙手をした子供を連れて帰るなど、どちらの親も特に怒ることなく日々は賑やかで楽しい大家族のようだった。 家と家との境界線があるようでない俺の家と柚葉の家。 そんな俺と柚葉はいわゆる幼馴染という関係で育ってきた。 学年の年の差なんて関係がないほど、俺達は仲が良い。 性別差はあれど、とくに境界線はない。
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