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しまった。間違えた。
私はふいに自分の失態に気づいて、ぴたりと足を止める。
ひたすら目につくのは、知らない家の庭先に咲いている、向日葵の鮮やかな黄色と。
どこか非難するようにさえ聞こえる、これまた知らない犬の吠え声と。
極めつけは、まあまあの速度でまさに今脇を通り過ぎていった、はじめましての真っ赤な車ときた。
どうやら時すでに遅し、のようだった。
「……え、ここどこ?」
私、涼風 羽奏は、一年と半年通っている通学路で見事めでたく迷子となりました。
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