宝石の瞳(アンドロイドの恋人)

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宝石の瞳(アンドロイドの恋人)

 カナダのグリーンレイクへ来た。宝石みたいな色をした湖だ。同じ色の瞳をした君が隣にいる。 「どうしてこんな色をしているのですか?」 「さあ?」  笑って、知らないよ、という外国人がよくやる肩をすくめるジェスチャーをしてみる。 「どうしてここへ連れてきてくれたのですか?」 「君が喜ぶと思ったから」  外国製のアンドロイドである君は、その瞳の色を気にしていた。周りと違うからだ。  この土を踏み締めるまで、人間である僕は大変だった。顔色一つ変えずに付いてくる君は、やっとここへ到着した感動なんてないかもしれないけど、愛は受け取ってほしい。勝手なことを考えながら、君の眼差しを僕は受け止める。 「ここは外国ですか?」 「ここは外国」 「どこにも行かないでください」 「どこにも?」 「一人にしないでください」  なのに、君はそんなことを言う。僕達が外国で感じる物寂しさなんて、君が感じるはずないのに。  どこにも行けない。この宝石に魅入られた僕は、そこで動けなくなってしまった。
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