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「え」と青年が声を上げ、驚いた様子でレイモンドを凝視した。
「何で、僕の名前を?」
彼の名前が「カオル」だというのは図星らしかった。咎人はレイモンドと薫を交互に見た。レイモンドは薫のことをどこで知ったのだろうか。
「ミズ・ニシノモリの御令孫だろう? 顔の面影と君の魔術には見覚えがある」
「ニシノモリ」、「御令孫」、「面影」、「魔術」。次々と登場する不明の言葉を繋ぎ合わせ、咎人は話の内容を咀嚼する。
つまり、薫は「ニシノモリ」という人物の孫で、レイモンドはその人物と面識がある。だから、初対面である薫を一眼見て、その面影から孫だと予想したのだろう。
そして、「魔術」という言葉。咎人は、使用人として働き始めたばかりの頃に人生で初めて魔術という現象を見せ付けられた。
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