女としての日常

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女としての日常

「‥‥‥でもネェ。それにしても、どうしてアナタが私の家まで来なければならないのかしら?‥‥‥江藤君の家でも良かったのに。そう思うんだけど。。。」 やがて、時は過ぎ、成城警察署を跡にした早紀は、江藤とは別れて、その日も任務を終えて、白金台にある自宅のマンションに戻ろうとハンドルを握る悦子の車に同乗していた。早紀が悦子に答えた。 「‥‥‥だって、こっちに来る時、色々あったものだから、必要以上に経費が掛かってしまってるし。それに、‥‥‥シゲルの家でも良かったんだけど、‥‥‥一応、ワタシ、嫁入り前の乙女だしぃ。だから、‥‥‥女は女同士が良いカナって。‥‥‥アッ、そうそう。御土産は買って来たので、良かったら皆さんでどうかしら?」 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 車のハンドルを握り締めながらも、悦子は、ふと横目で助手席に座っている早紀が懐で抱えている包み袋を一瞥した。当たり前であるかの様に、その包み袋の片隅には『東京・土成屋』と記されてはいるものの、それでも、悦子は気が付いてはいないかの様に早紀に向かって呟くのだった。 「‥‥‥わざわざ、広島の町でそんな大層なモノを用意して頂けるだなんて、‥‥‥ウチのマンション、アナタひとりが寝泊まりするくらいの余裕はあるとは思うけど、何しろチラかってるし、少し時間が掛かるかしら。」 「それは大丈夫。‥‥‥少しはチラかってる方が落ち着き易いですから。」 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 やがて、ふたりを乗せた車は、白金台にあるマンションの駐車場へと辿り着いた。悦子が早紀に話した。 「‥‥‥でも、ウチには小学生の子供がふたりいるから、‥‥‥もし、騒がしかったらゴメンなさいね?」
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