沢村 陽菜

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沢村 陽菜

 ーー1年3組 出席番号12番 沢村 陽菜(さわむら ひな)ーー  星野(ほしの)くん、こっち向いてくれないかな~。  顔の横に、たらしているおくれ毛の束を、指で整えるように触りながら、私は、じぃーっと、今日もかっこいい星野くんを見つめていました。  今は、3時間目で、歴史総合の授業中。  つまらない昔の人の話より、今を生きる星野くんを見ている方が、私にとってはよっぽど有意義です。  はぁ~。今日も見てるだけで癒される~。  私の視線の先で、一生懸命ノートをとっているのは、星野 翔琉(ほしの かける)くん。  名前も素敵な彼は、バレーボール部でも活躍中のイケメンで、私の……  好きな人です!  キャー!  「好きな人」……なんて、自分で言って照れちゃう。    整った顔立ちで、高校入学以来、女子からの人気が高かった星野くんだけど、ちょっとシャイなのか、あんまり女子と話さないおとなしいタイプ。    そんなところが『チャラくなくていい』と、ますます星野くんの人気が上がってきた頃、私は星野くんを好きになりました。  その日、日直だった星野くんは、休み時間に学級日誌をめくりながら、当時、隣の席だった私に、 「沢村さんて、すごく字が上手だね」  なんて、マスク越しに微笑んで、話しかけてくれたんです!  普段は、あまりおしゃべりしない星野くんの、レアな笑顔でほめられたら、そりゃ私のハートもぶち抜かれますよ。  
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