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未確認飛行物体56
「その方とは?」
「東の森に住んでいる一人好きな魔女。ちょっと厳しくて口が悪いところもあるけど良い人だよ」
「東の森ですか?」
「場所を口頭で説明するのはちょっと難しいけどその森の奥に彼女は住んでる。彼女なら何か知ってるかもしれない。――確証は無いけど」
最後に念を押すようにマルクをしっかりと指差し彼はそう付け加えた。
「分かりました。ありがとうございます」
「森に入ったらただただ真っすぐ進むといいよ。そうすればいずれ見つけてもらえる。それともし彼女に会えたら僕がよろしく言ってたって伝えといてよ」
「分かりました」
「あの! イザニエル様! 一つご質問をしてもよろしいでしょうか?」
すると本題が終わるのを見計らっていたのか後ろに立っていたフローリーがマルクの横に並ぶと輝かせた表情をイザニエルへと向けた。
「あぁもちろんだとも。だけど僕がなぜこんなにも素敵かってのを教えてあげるには時間が足りないから残念だけど諦めてくれ」
「いえ、それも素敵な質問ですが予言者様は幅広く魔術にも精通していると聞きます。イザニエル様も噂通りそうなのでしょうか?」
イザニエルの言葉を悪気はないのだろうフローリーはスルリと躱して見せた。
だが彼自身にもそれを気にしている様子は無い。
「その噂が何なのかは分からないけど、まぁそれなりに勉強はしてきたしそこら辺の魔術師並みには扱えるよ」
「もしかしてあのモルアーツで学びを!?」
「いや僕は並行して他の勉強もあったからね専属の家庭教師が教えてくれたんだ」
……
それからイザニエルと少し話をしたフローリーと共にマルクは客室へ。戻る間も終始フローリーは満足気な笑みを浮かべ続けていた。
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