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クラス会には、正装したアラサーとなった元高校生が集まった。
多香子は亜由菜や真里、澄子、夕梨花達と揃って会場に向かった。みんな結婚式で着たドレスを再び着るいい機会と張り切っていた。
「同窓会だって、男子を漁ろうだなんて思っていないからね」
多香子はふっと思ったことをいい出した。
「まぁ、出会いが無いからと言ってね」
警察官になっていた真里も続けた。
「そう、結婚しているのに引っかかるのだけはごめんだもの」
夕梨花も元気な声で言った。
そんな風に色々いいながら会場につくと、タキシード姿の幹事森島雅基が迎えていた。
「どうぞ、入って、入り口にある席順表と名札を持ってね」
もう一人の幹事栗原智からセットで受け取ると席順を確認した。
「結構バラバラに座るんだ」
澄子が残念そうに言った。
「仕方ないよね。こっちはまた女子会やろうよ」
多香子はそこにいたグループのメンバーに声をかけた。
「そうだね。多香子がやっとラインに入ってくれたんだし」
「はいはい、確かにメールじゃご迷惑をおかけしました」
「そうだ、冬海もラインに入ってよ」
穂波が冬海に声をかけた。彼女も修学旅行の時のメンバーだった。うちの高校は修学旅行が高校生活のメインイベントだった。1年の時から行く先を決め、2年になるとクラスごとに旅程を組んで、班ごとに行動をする。だから、修学旅行の思い出は同じ班でないと、少しづつ違う。
みんな立派なスーツやパーティドレスを着て、華やかな会になっていた。
皆が席についたのを確認すると幹事の森島が立った。
「皆さん、グラスを持ちましたか、卒業10周年おめでとうございます! 先生を呼べなかったけど楽しくやりましょう! では、かんぱーい!!」
「乾杯!」
そうして、場が盛り上がってくると、席を移して思い出話に花を咲かせていた。
多香子はなんとなく動くこともなく、適当の飲み物をもらっていた。
隣に冬海や澄子がきて近況を話していると、いつの間にか前に塚嶺が座り、二席空けた所に時田が座った。
「塚嶺くん、私さ、本当に好きだったんだよ」
時田が絡みだした。
「だから、修学旅行に行く前に、女子皆いるところで、私は塚嶺くんが好きだから協力してって言ったくらいなのに」
「えっ……」
塚嶺はものすごく困った顔で、上目使いで眼の前の多香子を見た。
塚嶺の方を見ていた多香子は、高校時代の事を思い出していた。もしかして彼は……。
そして、助けてあげられなくてごめんねと思っていた。それくらい真剣な目をしていた。
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