ラブレターは月明かりの下

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 ***  人間たちの間でも、噂になっていた。  満月の夜にポストを覗くと、運命の恋人からの手紙が届いているというのだ。  その晩、ポストを開けて、手紙と運命の出会いを果たした人物――それは。 「おおおお、の、ノエルちゃん!なんて可愛い名前、可愛い字!きっとすっごく可愛いおんにゃのこに違いない!」  おっさん勇者クリスは、手紙を持ち出して小躍りした。早速、手紙を書くことにしたのだった。昔師匠の元で“書道”なるものを習っていたことがあるので、字の綺麗さには自信があったのである。 「はじめまして、ノエルさん。私はクリスっていいます。あなたのことがもっと知りたいです……むふふふふ」  二人は知らない。  双方の可愛い字と中性的な名前のせいで、お互いを可愛い女の子だと誤解しまくっていることを。  マッチョ魔王とおっさん勇者の恋(?)がどうなるのかは、神のみぞ知るところである。
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