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ここはどこなんだろう
ここはどこなんだろう。
もうどれくらい、歩いて走った?
また満月を見上げながら、自分に呆れて唇を歪ませる。
あれは。
あの光景は。
佐倉さんに、何もしてこなかった俺に対する答え。
それはそうだろう。
言葉に出さずに、気持ちを伝えずに叶う恋なんてあるはずがない。
そんな事にさえ夢を見ていた俺は、物語のような展開に胸を躍らせて……当たり前のように恋の終わりを迎えた。
それは全部、俺のせいだ。
こんな蒸し暑い梅雨の雨上がりの夜に、馬鹿みたいに走っても。
何も起きるはずがないのに。
何も、変えられないのに。
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