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「王妃様、ご機嫌麗しく。今日の日をお祝い申し上げます」
四大公爵夫人筆頭ダニエラが祝福してくれます。
それに合わせてエノ、メルディナ、フェリシアもまた深々とお辞儀して祝福してくれました。
四大公爵夫人は相談役として私を支えてくれています。直属の臣下という扱いですが、時には友人のように接することができる四人です。
「ありがとうございます。顔を上げてください」
許可すると四大公爵夫人は顔を上げ、私のうしろに控えます。
王妃の一団に四大公爵夫人が加わって、一団はさらに大きく華やかになりました。
北離宮の正門を出て本殿に入ると、王妃の一団はとても注目を集めてしまうものです。それというのも北離宮の女官や侍女は王妃に仕えているので、彼女たちがまとっている雰囲気も衣装も本殿の従事者たちとは違います。そのこともあってどうしても視線を集めるのです。しかも普段は男子禁制の北離宮から出てくることはないので謎めいた存在とされていました。
「王妃様、本日はおめでとうございます」
「おめでとうございます。お会いできて光栄です」
「お祝い申し上げます。本日もお美しい」
本殿にいた貴族や高官が恭しくお辞儀して祝福してくれました。
次々に祝福の挨拶をされて私も微笑と目礼を返します。
穏やかな挨拶や祝福を受けながら廊下を進み、目の前には美しい装飾が施された重厚な扉が現れます。
ゆっくり扉が開かれると、広間には大臣や高官や上級貴族といった魔界の中枢に名を連ねる顔ぶれが整列していました。
広間の真ん中を私を先頭にした王妃の一団が進んでいきます。
進むに合わせて整列していた高官や貴族が恭しくお辞儀してくれる。奥に進むにつれて階級も上がっていきます。大臣や書記官、陸軍や海軍の将軍や大隊長が敬礼し、次は四大公爵の四人と宰相フェリクトール。
私のうしろに従っていた四大公爵夫人もここまでです。彼女たちはそれぞれの大公爵の隣に立ちました。
私は広間の奥にある段上を見上げて微笑みます。
そこにいるのは私の伴侶である魔王ハウスト。そして三人の息子たち。そう、私の家族でした。
「お待たせしました」
私は段上の下で膝を折ってお辞儀しました。
顔をあげるとハウストが目を細めて頷き、私に向かって手を差し出してくれます。
「側へ」
「はい」
私はゆっくりと階段をあがり、ハウストの手に手を重ねました。
「美しいな。出会った時から変わらない、いつも思っている」
「ありがとうございます。あなたも出会った時から変わりません。ずっとステキなままです」
そう言葉を交わし、見つめあったまま微笑みあいました。
手を繋いだままハウストの隣に並び立つと、次は三人の息子を見つめます。
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