第8章 あの男を目指してるわけでは無い…はず?

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俺はまた洗面所に向かい、口を濯いで歯ブラシを洗っていくと、離れたリビングからゆりえの声がまだ聞こえている。 「旦那さんが元警部さんで、大地さんも刑事さん。坂井雪子さんが料理研究家。賑やかね」 ゆりえはそう言ってクスクス笑っている。俺は口元をタオルで拭いて、使ったタオルを洗濯機に入れてリビングに戻り、ソファに座るゆりえを後ろからギュッと抱きしめた。 「さて。就職はこれでほぼ内定だな。俺も安心。これで堂々と同棲できる!」 「あ。紫乃が最近やっと口を聞いてくれるようになったのよ。やっと認めてくれてくれるかもね」 ゆりえは俺の胸に寄りかかって言うと、ゆりえを抱きしめる腕に触れて目を閉じた。 「これから、イイことが俺たちを味方してくれるよ」 「うん。ありがとう。迅がいてくれて良かった」 俺はギュッとゆりえを抱きしめると、ゆりえは俺の方に顔を向けてキスを求めるように目を閉じた。お肌の手入れの途中だけど、俺はゆりえの唇に唇を重ねてそのまま数秒。ゆりえが先に唇を微かに開いて、舌を入れてきた。 「寝室、行く?スキンケア終わった?」 「途中だけど。…いいわよ。抱いて行ける?」 「お?!やったろうじゃん」 俺はソファの前に移動して、両手でゆりえを抱き上げると、ゆりえも俺の肩に腕を回して、 「ほら。頑張って」 と言ってイタズラそうに微笑んで、もう一度キスしてきた。 「因みに、坂井理さんて。……そんなに変態なの?どんなふうに?ウチのオーナーも、彼には頭が上がらないって言ってたわ」
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