海が見える温泉

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「……コウキやレイのものには付いているこのリボンやフリルは仕様か?」 「精霊さんや妖精さんの趣味だと思います」 「ひらひらドレスみたいなときもあるのー」  当初は、父上殿達のものにまでフリルやリボンが付いていたのは、ここでは敢えて言わなくてもいいだろう。  父上殿達が女性に間違われていたわけではなくて、精霊達や妖精達からすると、魔力で作成する衣服の類いには、フリルとかを付けたほうが魔力面積が大きくなるため、着用後の防御力が上がるって理由だったみたいだよ。  精霊や妖精は高位生命体に分類されるから性別は有って無いようなものだし、防御力を優先してひらひらふわふわした布を重ねた感じの服を着ていることが多いから、その感覚だったみたい。 「……この気配、先客かな」  翠さんが小声で呟いていたそれに、ブランとノワールが反応して耳をピョコピョコと動かしている。 「そのようです」 「懐かしいけれど新しい気配を感じます」  懐かしいけれど新しい気配って……転生者ってこと、なのかな?  その答えは、海が見える温泉に足を踏み入れてすぐに知ることになる。
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