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記された1文。
『久しぶり。』
思わずスマホを落とした。
指先が痙攣したみたいに
ぶるりと震えた。
そのままその手を口元に当て、なんとか震える手と感情を沈める。
なに、これ……。
言葉にならなかった感情が、自分の中でじわっと広がった。
その不快な感情がしみになったようで、
自分の中でヒリっとする。
部屋の隅に滑り落ちたスマホが
ぷつんと明るさを消す。
私は恐る恐る手を伸ばした。
私の指紋に反応したスマホがまた明かりを取り戻す。
角の方に小さくヒビが入っていた。
ああ、買ったばかりなのにーなんていう呑気な感情はさすがに生じず、怖さだけがピリピリしていた。
薄目にしていた目に少しずつ光を取り込む。
そこにははっきりと文字が打ち込まれていた。
『久しぶり。』
誰も知らないはずの私だけの日記に、
そう、書き込まれていた。
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