悩み事

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悩み事

ピコピコピコ。 ピコピコピコ。 耳元に置いていたスマホの木琴アラームが 鳴り、朝の7時を知らせる。 私は横になりながら腕を伸び伸びと 上に伸ばし 固まった身体をほぐす。 「さぁ…作るか」 まだ眠気が襲ってきて今にでも 瞼が閉じようとしている なまった体を強引にベッドから起こし リビングへと 足が千鳥足になりながら向かった。 まだリビングはカーテンが閉まっていて 夜中の静寂が置き去りのまま 朝が訪れていたようだった。 隣にある ふすまを見るとまだ閉まったまんまだった。 その奥は娘の寝室になっていて ぐぅぐぅと大きめのイビキをかいて 夢の中を彷徨っている様子の音が聴こえる。 大分疲れているのだろうか。 ここ最近は前までかいていなかった イビキに加え、夜も遅くまで起きているようで朝、顔を合わせると目元に 青みがかったくまが出来ていた。 「夜眠れてないの?」と私が聞くと 「うん、最近は満足に眠れてない」と 目をこすりあくびをしながら返答された。 こすった後に目がとろんとしているのも 不眠症の形相を物語っていた。 「何で?何か悩み事でもあるの?」 娘も高校生になり 思春期真っ只中だから 進路や人間関係で悩むこともあるんだろうな 誰しも通った道だから 私が良き相談相手になってあげよう そんな淡い悩みを抱えていると 考えていた。 しかし娘の口から 発されたのは 私の想像を斜め上をいくことだった。 「もう……うんざりなの……」 「知らない女の霊が目に入るのは」 それに対し私は 「大丈夫よ」 「霊なんて居ないと思えば居ないのよ」 「仮に居たとしてもその霊のおかげで 助かっている人がいるんだと思えば また感じ方が違ってくるわよ」 と満面の笑みで助言した。
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