第4話 蛙の祟り

5/5
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 五年後。  異国のどこか。  奥村太郎は蛙太郎となって、見世物小屋で生活していた。  彼の皮膚は灰緑色のまだら模様、両眼は顔の側面に位置し、歯は歯ブラシ状。両手足はなく、芋虫のように転がりながら、飲食し、排泄し、生きている。  見物客はある意味、奥村太郎が犯した罪よりも残酷で非道かもしれない。  金井兼子の話はここで終わっている。  彼の消息を知る者が、今は、誰もいないことだけは確かだった。  
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!