ミッション・武器は使うな

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 俺は殺し屋組織の一員。  コードネームをアインという。  このたび、俺が所属する組織にも不況の波が押し寄せてきた。  リーダー・フィアから呼び出しを受けた俺とチームのメンバーは、新しい命令をくだされた。 「アイン、ツヴァイ、ドライ。ボスからの命令だ。今日から武器を使うな。銃火器をはじめ、刃物も厳禁」 「は?」  俺の耳がどうかしてしまったのか。  ツヴァイとドライはクールだから顔色を変えない。 「まあひとことで言えば資金不足なんだ。お前らが刑事ドラマみたいにドンパチ射撃訓練に使ってくれたがな。弾丸もタダではないんだ。今日の報告は以上だ。各自ターゲット撃破に励め」  報告を終えたフィアが去り、ツヴァイとドライは文句一つ言わず、町並みに消えていった。  この雑な指示を眉一つ動かさず受け入れられるとは、さすがベテラン。俺も早くあの域に達したいものだ。  さて、俺も行かねばなるまい。  武器を封じられた以上は、この身だけが武器。  俺はまず筋肉をつけるためにジムに通い始めた。  分厚い筋肉があればきっとショットガンの弾丸も弾き返せる。  強靭な握力があれば手錠をかけられたとしても引きちぎって逃走できる。  ターゲットが立てこもるなら、扉をタックルで破壊する。  撃つことも刺すことも封じられた今、全てをこの肉体で解決するのみ!!  その後。  次のターゲットを始末する任務で指紋や汗が残り、監視カメラにも映り込んでしまったため、俺は逮捕されてしまった。  うーん。カメラも殴って破壊しておくべきだったな。この反省点は今後に活かそう。
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