そうだ、渋谷行こう

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 先ずは、床一杯に描いた魔方陣。それから、一ダースの蝋燭。蝋燭は、自らの血液で魔方陣に固定。それは、始めに北の位置から始め、30度毎に反時計回りにずらしながら配置する。それから、魔方陣の中心に置いた陶器製の器に髪の毛と爪を入れる。そして、それを炭になるまで燃やす。それが燃え切ったら、蝋燭に火を灯す。今度は、南から始めて時計回りに作業していく。  全ての蝋燭に火を灯したら、魔方陣の真ん中辺りに立ち、予め暗記した呪文を唱える。それを終えたら、ダマスカス製のナイフで心臓を一突き。一突きも何も、一突きしたら終わる。いや、終わらせたい。命を終わらせたかった。  全てに絶望し、希望はなく、生きることも辛い。そう、そうやって人間としての命を終え、ハロウィーンの前に亡霊となった。亡霊となってからは、空腹や眠気に苦しむことなく自由だった。自由だから何処にでも行ける。そう、ハロウィーンで何が起こる渋谷にだって。
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