Ⅱ.幸せな発見

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Ⅱ.幸せな発見

「……んん?」 「どうしたんだ、ケビン?」  上目遣いに俺の顔を見上げるレインの胸元に目を遣る。  もう完全に、胸に膨らみがあることを確認出来た。あと何かすごくいい匂いがする。  俺は驚きのあまり後ずさる。 「え!? いや、マジ!?」 「何だよケビン?」 「お前、レインさ、女なの?」 「ったりめーだろ。知らなかったのか?」  レインが呆れたように笑いながら首を傾げる。  あ、確かに可愛い顔してるな、コイツ。 「ケビンくん、本気で言ってます?」 「オイオイそりゃあ冗談きついぜ」  アーケンとスライが顔を引き攣らせながらそう発した。 「お前ら、結婚するんだと思ってたが、違うのか?」 「違くない! 俺とケビンは結婚して、秘密基地で暮らすんだよな?」 「あ、そうなの!? そういうことなの!? いや全然いいんだけどさ!」  俺に奥さんが出来た。  親友だと思っていたレインが俺の奥さんになった。  奥さんの一人称「俺」だけど。  ちょっと割り切るまで時間がかかりそうだが、これはこれでハッピーな結末なのだろう。 「ケビンくん、良かったですね。私たちも負けずに幸せになりますからね」 「おうよ! 俺とアーケンも新婚生活だぜ!」  ん?  ちょっと待て、何か言っている。  アーケンとスライがめちゃくちゃ寄り添っている。 「え、お前らって、そういう関係だったの?」 「ケビンくん、それも知らなかったんですか? 私は彼女を、スライを愛しているのですよ」 「おう! 俺もアーケンを愛してるぜ!」 「いやそっち!? アーケンが男でスライが女なの!?」 「当たり前じゃないですか!」 「容姿で判断するのは偏見だぜ!」  ……いや、衝撃の事実が多すぎる。  俺は財宝捜索に注力しすぎて、近視眼的な視野になっていたようだ。  財宝を発見した俺たちは、生涯の伴侶となる相手をも発見していたらしい。  というか俺たちって男女4人組のダブルデートみたいな布陣だったのか。俺はそんなことにも気付かなかった。  この関係性こそが、今回の冒険一番の「発見」かもしれない。  さて財宝の山分けに入ろうか。半分ずつでいいよな、もう。 ■おわり■
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