プロローグ

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プロローグ

「お誕生日、おめでとう。これ、似合うかどうかわからないけど...」  中里裕也は一世一代の告白をしようと、今日を迎えた。この日のために頭の中で何度もシミュレーションを繰り返した。台詞だって決まっていた。  アルバイトをして貯めたお金で百貨店から購入したマフラーの入った包みを差し出した。  場所は寒風が吹きすさぶ公園。目の前の彼女は包みを一瞥しただけで、受け取ろうとはしなかった。  裕也は心配になって訊いた。 「中にはマフラーが入ってる。どうか受け取ってほしい」 「わたし、要らない。悪いけど、受け取れない」  彼女は腕組みをし、突っぱねるように言った。 「え?マフラーは気に入らないの?」 「悪いけど、あなたはわたしの恋愛対象から外れているから。あなたの期待には応えられないわ」  彼女は踵を返すと、公園を去った。  裕也は包みを手にしたまま、呆然としたままだった。
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