2.ラカキゲサーカス団 ~ 氷の魔術師 まで

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ

2.ラカキゲサーカス団 ~ 氷の魔術師 まで

閲覧ありがとうございます。 こちらは過去作【星屑のメロウ】の改正版です。 過去作をベースに新たに書き直したモノなので、 過去作とは設定や展開が異なります。 また、過去作は小説に限りなく近く書き上げていますが、 改正版のこちらは『脚本』の状態です。 重大なネタバレを含みます。 予告なく書き換える可能性があります。 よろしくお願いします。 三人娘がシスター・ヴィクトリアに 冒険家になることを認められてから数日後。 マリー「ねえ! 隣のルーイ村に     サーカス団が来るそうよ!」 旅立ちの前にちょっと見に行こうとはしゃぐ三人娘。 新しい仲間のパトリシアと共に 道中の敵をバッタバッタとなぎ倒す。 ルーイ村の近くに大きなテントを発見。 目的の『ラカキゲサーカス』に到着する。 テントに入り、ショーを見始めると、マリーに異変が。 魔力の豊かさは感受性の豊かさとも言われているので、 マリーがショーに出演している演者から 『痛い』『苦しい』『悲しい』『怖い』『つらい』といった 感情を感じ取り、マリーの体調が悪くなり始める。 サララとイリス、パトリシアは外に出ることを勧めるが マリーは「最後まで見なきゃ駄目な気がする」と言う。 ショーはどんどん過激になっていく。 最後に登場したのは、とても珍しい 『パローネ族』という妖精。 知能がとても高く、魔力も有しており、 人間など相手にならないはずなのに、 ショーのパローネ族はぼろきれを着せられて 鞭で打たれ、敵意剥き出しの目をしながらも 魔術を披露していた。マリーの頭に声が響く。 『誰か・・・誰でもいい・・・。  僕を・・・僕を助けてくれ・・・。  早くしないと・・・あの子が・・・』 ショーが終わったあと、サララとイリスは マリーの言葉を信じ、パトリシアの制止も振り切って テントの裏に潜り込む。そこでは貧相な身なりの女と 逃げ出したのであろう少女がサーカス団員に詰め寄られていた。 サーカス団員曰くテントの回りに張り巡らせている 風船は『結界』らしく、内部の様子は外部に見えず聞こえず、 外部からも侵入できないはず、らしい。 『マリーの魔力が結界を張った者よりも強いからではないか』と 推測するパトリシア。 サーカス団員A「ヘッ、嘘吐け、女のガキばっかじゃねえか」 サーカス団員B「ボスに献上する前に俺達で喰っちまおうぜ」 サーカス団員と戦闘。 戦闘勝利後、パトリシアが尋問(拷問)を始める。 『ラカキゲサーカス団』は表向きはサーカス団だが、 裏では奴隷を売買する奴隷商人団だった。 田舎町でサーカスをするのも、客として来た者を品定めするため。 東の洞窟をアジトにしているらしい。 パトリシアは「口の軽い者は信用できない。そして用済み」と言って 団員をボッコボコにする。イリスは殺すのかと思ってヒヤヒヤした。 ???「おねえさん、たすけてくれてありがとう!」 サララ「お、おねえさん?     どう見たって貴方の方が年上だけど・・・」 ???「あたし、ミュコ! ともだちをたすけるために     ここまできたの。でも、なかにはいれなくて・・・。     おねがい! あたしのともだち、たすけて!」 マリー「まっかせなさい!」 どう見ても大人、それも豊満な肉体を持つミュコが仲間に加わる。 ミュコが庇っていた少女は「ミュ?」としか話せず、 首輪には『ミミン』と書かれていた。ミミンも仲間に加わる。 東の洞窟へ。洞窟の前には一人の男が立っていた。 ミュコ「あ! ノウ! きてくれたんだ!」 ミュコにノウと呼ばれた男は、ミュコに微笑みながらも どこか気怠そうに煙草を吸っていた。 サララ「貴方は・・・?」 ノウ「うーん、ミュコの保護者、かな?    それにしてもあいつ、捕まるなんて    トロくさいなあ。おかげで面倒なことになったよ」 サララ「捕まっているのは貴方のお友達でしょう?」 ノウ「まあね。さあ、さっさと終わらせよう」 ノウの態度に不信感を抱きながらも、 ノウも三人娘の仲間に加わる。 洞窟の最奥で奴隷商人団のボスを見つける。 奴隷商人のボス「ああん? チッ、見張りの野郎どもは         なにやってんだ。まあいい、ケケケ!         年端もいかない小娘共が!         ここまで辿り着いたことは褒めてやらぁ。         ただし、ここを見られたからには         生かして帰せねえな。たっぷり楽しんだあと、         テメェらも売りモンにしてやるぜ!」 ノウ「人間ってほんと醜いね」 奴隷商人のボスと戦闘。 戦闘勝利後、ノウが奴隷商人のボスを必要以上に痛めつける。 マリー「ちょ、ちょっとノウ、それ以上やったら死んじゃうよ!」 ノウ「あ? ああ、ごめんごめん。    騎士団に突き出さなきゃいけないんだったね。    どうせ死刑だろうから寿命が延びて良かったね」 奴隷商人のボス「うう・・・」 ノウ「さて、牢屋の鍵はどこかな?」 奴隷商人のボス「腰にある鍵束の・・・一番大きいヤツだ・・・」 ノウ「オッケー、じゃあ大人しくしててね」 ノウが奴隷商人のボスを痛めつける。 マリー「ちょっと! やりすぎよ!」 ノウ「おいおい、綺麗事だけじゃ生きていけないぜ。    どんな汚いことをされたのか、    奴隷達に聞いてみればわかると思うけど・・・」 奴隷達を解放する。わあっと歓声が上がった。 その中にサーカスで見たパローネ族も居た。 ミュコ「ステファン!」 『ステファン』と呼ばれたパローネ族がミュコを抱きしめる。 ステファン「ミュコ、無事でよかった。       皆、助けてくれてありがとう」 マリー「いえいえ! エヘヘ・・・」 ステファン「でも生憎、僕は人間が大嫌いでね。       元はと言えば人間の私利私欲のせいで       捕まったんだ。礼は言うけど感謝はしないよ」 マリー「怒るわよ!」 ミュコ「だめだよステファン! おねえさんたち、     とってもしんせつにしてくれたんだから!」 ステファン「親切心には裏があるものだからね。       あんまり人間族を信用しちゃいけないよ」 ミュコ「で、でも・・・」 ミミンが『ミューッ! ミューッ!』と声を上げる。 パトリシア「『喧嘩はやめろ』って言っているのかしら?」 サララ「確かに。喧嘩している場合じゃないわね。     このゴミクズどもを縛り上げて     騎士団に突き出さなきゃ」 ノウ「奴隷達に治癒魔法をかけて運搬力とするか。    ステファン、魔法使えるかい?」 ステファン「いや、疲弊してて魔力が無い」 ノウ「ッチ、使えないな」 イリス「やめなよ二人共。     治癒魔法なら私がかけるから」 奴隷商人のボスが命乞いを始める。 奴隷商人のボス「ちょ、ちょっと待ってくれ!         取り引きしないか? 俺は、」 ノウが容赦なく痛めつける。 ノウ「全く、愚かだね。おい、馬鹿。    僕は親切だから教えてやる。    周りを見渡してごらん」 解放された奴隷達が殺気立った目をしている。 ノウ「お前を死ぬよりつらい目に遭わせても    いいんだぜ? やり方はお前達が    奴隷達に教えただろ? どうする?」 奴隷商人のボス「うう・・・」 ノウ「さ、もう一息だ。    馬鹿共を縛り上げたら    『暴風城』まで連れて行こう」 奴隷1「ああ、ありがとうございます・・・」 奴隷2「貴方達は天使だ・・・」 奴隷3「もう駄目だと思っていました・・・」 ノウ「礼なら保護されたあとにしてくれ。    さ、行こうぜ」 暴風城に辿り着いた三人娘。 見張りの兵士に話しかける。 マリー「あのう・・・」 兵士「お待ちしておりました」 マリー「えっ?」 兵士「どうぞ」 城の中、王座まで案内される。 暴風王「ごきげんよう」 マリー「ごっ、     ごきげんようございます・・・?」 暴風王「フフ、緊張しないでください。     貴方達のことは風が知らせてくれました」 マリー「風?」 暴風王「ええ。風は音とにおいを運びますから。     ラカキゲサーカス団が     人身売買組織だということも、     それを貴方達が壊滅させたこともね」 サララ「ちょっと、待ってください。サーカス団が     人身売買組織だと知っていたのなら、     何故今まで野放しにしていたのですか?」 暴風王「国同士の、大人の会話が、     小娘の貴方達にわかるのですか?」 イリス「人命が第一だと思います、陛下」 暴風王は少し沈黙したあと、微笑む。 暴風王「では人命第一に、奴隷達は保護します。     サーカス団の残党の顔写真の手配と、     貴方達に褒美も与えなくてはいけませんね」 マリー「褒美?」 暴風王「『ギルドの設立』はいかがでしょう?」 三人娘「えっ!!」 暴風王「ギルドの設立に必要な手続きと支払いは     私がしておきましょう。つまり、     女王陛下公認のギルドということです」 サララ「な、何故そこまで私達に?」 暴風王「おこちゃまね、サララさん。     計画をバラす馬鹿はいませんよ。     私は貴方達を利用はしますが、     悪用はしませんから、安心してください」 マリー「むぅー・・・」 暴風王「さあ、ギルドマスターを一名、     メンバーを四名、     ギルド名を決めてください」 マリー「・・・わかりました!     ギルドマスターはあたし!     マリー・シェスターです!」 イリス「ありゃ、決めちゃった。     メンバーの一人は私、     イリス・ムーンリバーと、     パトリシアも道連れね」 パトリシア「あらまあ」 暴風王「パトリシア・フォン・シュトルツ」 パトリシア「お久しぶりです。スミレ様」 サララ「・・・では、     もう一人のメンバーは私。     サララ・サンダストです」 暴風王「一人足りませんね」 ミュコ「あたしっ! あたしもいれてっ!     あたしもギルドメンバーになるっ!」 ステファン「ええっ!? 駄目だよミュコ!!」 ミュコ「あたし、サララおねえさんみたいになりたい!     ステファンをたすけられなかった     よわいじぶんからかわりたいのっ!」 ステファン「そんな・・・」 ノウ「じゃあ僕も入ろうかな。    二対一だね、ステファン」 ステファン「ぐっ、わ、わかったよ。       彼女達が承諾するならね」 マリー「大歓迎!!」 ステファン「あああー・・・」 ミミン「ミュ! ミュー!」 ミュコ「ミミンちゃんもギルドになるよね?」 ミミン「ミュウーン!!」 暴風王「では、ギルド名は?」 三人娘は顔を見合わせ、 三人娘「スターダスト!」 と言う。 パトリシア「まあ! 三人で考えたの?」 マリー「うん! 孤児院を抜け出して     星空を見に行った夜に、     あたし達三人で決めたの!」 暴風王「・・・フフ、素敵な名前ですね。     では、『スターダスト』よ。     私が仕事を依頼します」 マリー「はい!」 暴風王「ここから北にある『トウヤ山』という     山の頂上に住む『ジン』という男に、     手紙を渡してほしいのです。     手紙は明日の朝までに用意しますから、     今日は我が城で休息を取るとよいでしょう」 三人娘「ありがとうございます!」 暴風王「では、頼みましたよ」 こうして、ギルド『スターダスト』が設立された。 翌朝。 マリー「よーし! トウヤ山へ出発よ!」 城下町を出て北のトウヤ山に向かう。 麓の町で一休みした後、長い山登りへ。 魔獣達を倒しながらてっぺんへ辿り着く。 てっぺんには山小屋があった。 マリー「ごめんくださーい! ジンさんはいらっしゃいますかー?」 ???『はあい』 山小屋から四十代前半の男が出てくる。 ???「おや、こんな人数で、なんのご用かな?」 マリー「あたし達は『スターダスト』というギルドです!     こっちがサララとイリス、パトリシア、     ステファン、ノウ、ミュコ、ミミンです」 ???「自己紹介をありがとう。俺はジン」 マリー「女王陛下から貴方宛ての手紙を     預かっています。それを届けに来ました!」 ジン「スミレ様が? ・・・いや、そうか。    君達、山登りで疲れただろう。中に入ってくれ」 マリー「お邪魔します」 ジンの山小屋に入る。 ジン「さて、手紙をもらおう」 マリー「はい。これです」 ジンが手紙を読む。 ジン「・・・ふむ、成程な。    マリー君、君がギルドマスターだったね?」 マリー「はい!」 ジン「スミレ様の手紙には、俺が君達のギルドに加入して    旅の手助けをするようにと書いてある」 マリー「えっ!」 ジン「提示された条件も良い。    この話、受けようじゃないか」 マリー「おおっ!」 ジン「改めて自己紹介する。俺の名はジン。    昔は王宮で医者をやっていた。    戦闘はあまり得意ではないが、    後方支援は任せてくれ。よろしくな」 マリー「よろしくお願いします、ジンさん!」 ジン「敬語も敬称もいらないよ。    さあ、腹が減っただろう。    干し肉とチーズとワインがあるぞ。    おっと、君達はまだ子供だったな。    すぐそこに川が流れていて、    綺麗な水と美味い魚が居るんだ。    皆で取りに行こう」 三人娘『はい!』 冷たい川水にきゃあきゃあはしゃぐ若い娘に興奮するパトリシア。 呆れるステファンとノウ。水と魚をとって山小屋に戻る。 マリー「ジン、お風呂とかトイレはどうしているの?」 ジン「風呂はさっきの川で済ませているよ。    トイレは畑の肥料に使うから    一ヵ所に集めているんだ。    小屋の裏手に畑があって、    畑の隣に穴を掘って板を被せてある。    その板を外して用を足してくれ」 マリー「あ、そ、そうなの・・・」 ジン「フフッ、暖かい風呂と清潔なトイレに慣れた    君達にはちょっとキツいかな?」 マリー「・・・いいえ! 平気よ!     だってあたし達、冒険者だもの!」 ジン「頼もしい限りだ。さあ、明日の朝一番に山を降りて、    女王陛下に会いに行こう。今日はもう寝よう。    人数分の毛布はないから、冬用の上着をかわりに使ってくれ」 パトリシア「わたくしの分はいらないわ。       イリスちゃんの枕元にずっと立ってるから」 イリス「ええ・・・」 ステファン「僕もいらない。僕は立ったまま寝るから」 サララ「沢山運動したから今夜は     ぐっすり眠れそう。おやすみなさい」 夜。 マリー「・・・ううー、寝床が硬いよぉ。     ちょっと外の空気を吸いに行こうかな」 マリーが山小屋の外に出ると、ノウが煙草をふかしていた。 マリー「あ」 ノウ「やあ」 マリー「ノウも眠れないの?」 ノウ「まあ、そんなところかな」 マリー「・・・ねえ、聞きたいことがあるの」 ノウ「なんだい?」 マリー「ミュコって、一体何者なの?」 ノウ「年齢は二十四歳。ただ、精神年齢は    八歳くらいで止まってるみたい」 マリー「やっぱり、あたし達より年上なんだ。     どうしてミュコは・・・」 ノウ「さあ? 知らないね。    さて、夜の山は冷えるし、    明日も早いんだ。僕は戻るよ」 ノウはお洒落な携帯灰皿に煙草を捨てると、小屋に戻っていった。 マリー「ミュコって一体、なんなんだろう・・・」 マリーはふわあと欠伸をする。 マリー「ま、考えても仕方がないか。     あたしも戻ろう。寝なくちゃね」 そうして、山小屋での一夜は更けていった。 翌朝、ジンを仲間に加えたスターダストいっこうは山を降り、 暴風城まで行き、女王に依頼を達成したことを告げに行く。 暴風王「おかえりなさい、スターダスト。     ジン、彼女達に渡した手紙に書いてある通りです。     貴方がここに居るということは、     引き受けてくれるということでよろしいのですね?」 ジン「はい」 暴風王「では、スターダストよ、次の依頼をしましょう。     ここから北東、我が国の貴重な採掘場に、     『氷』を操る魔術師が住み着いたようです」 イリス「『氷』、ですか?」 暴風王「そう。火、水、風、土の四元素と、     その根源である光と闇。     そして人間が作り出した雷。     そのどれにも当て嵌まらない『氷』です。     高度な吸熱技術なのか、     『氷』という概念そのものを操っているのかは     わかりません。国民の混乱を防ぐため、     秘密裏に何度か調査団を出しましたが、     碌な成果は上がらず、     会議では軍を無わせるべきとの意見も出始めました」 サララ「おおごとですね・・・」 暴風王「さて、一度、城下町の酒場に向かってください。     多くのギルドは酒場で依頼を受けます。     酒場は人が集まりやすい場所ですから、     依頼人とギルドを仲介する場所に最適なのです。     貴方達の新しい仲間を酒場で待機させています。     彼ら彼女らと協力し、氷の魔術師について調査してください」 マリー「わかりました!」 暴風城を出て城下町の酒場に行く。 ???「ちょいとちょいと、あんた達!」 イリス「ん?」 テーブルに座っている女に声をかけられる。 ???「あんた達だろ? ギルド『スターダスト』って」 マリー「はい。そうです。     もしかして、貴方達が女王様が     言っていた新しい仲間ですか?」 お紺「その通りさ! 若い女の子ばっかりって    聞いていたからすぐに分かったよ。    自己紹介をさせてもらうね。あたしの名前はお紺。    巷で有名な賞金首ハンターとはあたしのことさ」 マリー「自分で言っちゃうんだ」 お紺「あはは! 敬語や『さん』付けはよしとくれよ。    むず痒くなっちまうからね。    耳と尻尾を見てわかると思うけど、『イナリ族』さ。    戦闘では前線に立つのが得意だよ。    じゃ、次の方」 ペトロフ「次は僕かな? 初めまして!      僕、ペトロフっていいます。      えっと、実は実際に戦ったことはまだないんだ。      でも、毎日、武器術の訓練をしているよ。      得意な武器は斧と剣かな。      武器を使わない格闘術も学んでいるよ。      あと、飛去来器に興味があるかな。      と、いうわけで、ビシバシ鍛えてもらえると嬉しいな!」 ローディ「僕の名前はローディ。      剣と長物が得意だよ。よろしく」 サララ「三人共、共通点がないように見えるけど、     女王様の紹介で私達のギルドに     加入することになったの?」 お紺「あれ、あんた達、    自分のことなのに知らないのかい?」 マリー「え? なになに?」 お紺「有名だよ、あんた達。    Bランクの指名手配犯である    奴隷商人団を壊滅させたって。    『ラカキゲサーカス』を名乗って    この国に潜伏していたんだろう?    Bランクっていや中堅冒険者の仕事さ。    それを断った数人で、    しかも十五歳の女の子達が壊滅させたってさ」 マリー「え!? あたし達、すごい、んだよね!?」 お紺「すごいさ! それで、女王様がお触れを出してね。    あんた達のギルドに加入したいヤツは    城に面接に来いってね。二百人くらい居たかな?    あたしらはその二百人の中から選ばれたってわけさ」 マリー「えーっ! 知らなかった・・・」 お紺「ま、雑談はこのくらいにして、    本題に入ろうじゃないかい。    あんた達、北東の採掘場に住み着いた    氷の魔術師を討伐しに行くんだろう?」 サララ「討伐じゃなくて調査よ。討伐するかどうかは     実際にあってから判断するわ」 お紺「成程ねえ。で、そんな薄着で大丈夫?    採掘場は氷漬けらしいよ?」 マリー「えっ。でも、着込んだら戦えないわよね・・・」 お紺「おやま、前途多難だねえ・・・。    まあいいや。ほら、この本をあげるよ」 お紺から本を貰う。 お紺「その本はイナリ族が戦うために    必要な知識がまとめてあるんだよ。    その中に『ポカポカ飴』っていう    飴ちゃんの作り方が載っているのさ。    舐めている間は身体が温まって、    極寒の地でも戦えるってモノなのさ」 イリス「すごい! 早速作ろう!」 マリー「よーし、準備を整えたら出発よ!」 採掘場に向かい、『ポカポカ飴』を一つ消費すると中に入れる。 マリー「す、すごく寒いけど、     飴を舐めたくらいで     どうにかなるものなの?」 お紺「まあまあ、    騙されたと思って舐めてみな」 イリス「・・・ちょっとからいね」 サララ「あら? 本当にポカポカしてきたわ!」 マリー「っていうかあっつい! あっつ!」 お紺「ね? 効果てきめんだろ?    さ、中に入っちゃおうね」 採掘場、氷の洞窟と化した場所には 氷で造られた魔獣がうろついており、 それらを倒しながら最奥へ。 一人の男が机に向かってなにやら集中していた。 マリー「そこまでよ!!」 ???「ん?」 男が振り返る。 ???「? なんだお前ら、     どうやってここまで来たんだ?」 マリー「ふふん、実力よ!」 サララ「貴方がこの採掘場を氷漬けにして、     魔獣を放し飼いにしているの?」 ???「おう、そうだ。     どうだった? 俺様の作った魔獣は。     なかなか強かっただろ!」 イリス「魔獣を造るなんて、この人、     とんでもない魔力の持ち主だよ!」 ???「お前、俺様のすごさが分かるのか!     俺様の名はミハエル!     自他共に認める天才魔術師だ!」 マリー「自分で言っちゃうんだ」 サララ「どうして採掘場を占領して     魔獣を解き放ったの?     返答によっては、私達は     貴方を討伐しなくてはならないわ」 ミハエル「うーん、暇だったから、だな」 マリー「ひ、暇? 暇で国相手に     喧嘩を売るようなことをしたの?」 ミハエル「おう。暇だから大掛かりな実験をしようと      思っただけだぜ。ここが採掘場だと      知ったのは少し前のことだ。      頻繁に武装した人間が洞窟に来てたからな。      おかげで良い戦闘データがとれたぜ」 マリー「ほ、ほんと?」 ミハエル「ほんとほんと」 お紺「白々しいったらありゃしないねえ」 ノウ「どうする? ギルドマスター。    僕は討伐に一票入れるけど」 ミハエル「あ? その小娘がギルドマスターなのか?」 マリー「そうよ!     あたし達はギルド『スターダスト』!     女王陛下直々の依頼で、     貴方を調査しに来たの!     返答次第では討伐させてもらうわ!」 ミハエル「女王直々、ねえ・・・。      うーん、しかし、お前・・・」 マリー「な、なによ?」 ミハエル「お前、俺と同等、      いや、それ以上の魔力を持っているな」 マリー「えっ!? あたしが??」 ミハエル「だが、魔力が燻っている感じだ。      魔力の『容器』としての身体が未熟だからだろう。      魔力のコントロールがうまくいかなくて、      体調を崩しやすい。そうだな?」 マリー「そ、そうだけど・・・」 ミハエル「・・・・・・・・・よし、決めた!      お前の師匠になってやる!」 マリー「はあ!?」 ミハエル「俺は魔法と調薬のプロフェッショナルだ!      俺に師事を乞えば、世界に名を轟かせる      魔女に育ててあげてやる!      肉体も健康にしてやる! どうだ?」 マリー「うっ、健康な、肉体・・・」 ノウ「おいおい、君の師匠になるかわりに、    今回の一件は見逃せってことだよ」 サララ「・・・あのね、ノウ。     マリーは本当に身体が弱くて、     毎日の投薬が欠かせないのよ」 マリー「サララ! いいよ、自分で説明するから。     ノウ、サララの言った通り、あたしは身体が弱いの。     ううん、弱いなんてものじゃないかも。     あたし、二十歳まで生きられるかわからないから」 ノウは沈黙する。 イリス「ねえ、ミハエル。     暇だからマリーの師匠をするの?     途中で投げ出したりしないよね?」 ミハエル「約束するぜ。必ずマリーを      世界一の魔女にしてみせる!」 イリス「・・・じゃあ、皆、     ミハエルを暴風城まで連れて行って、     本人に直接事情を説明してもらおう」 サララ「氷漬けの採掘場と魔獣はどうするの?」 イリス「魔獣は・・・。一度産まれた以上、     『こころ』を持っているんだから、     むやみやたらに殺すべきじゃない、かな」 ローディ「・・・優しいんだね、君」 ステファン「どちらかというと甘いんじゃないかな」 イリス「兎に角! ミハエルが事情を     説明するにしても、処遇は     依頼主の女王様とも     話し合わなくちゃいけないよ。     一度、暴風城に戻ろう。     いいよね、ミハエル?」 ミハエル「おう」 暴風城に戻る。 暴風王「スターダストよ、ご苦労様です。     して、進展はありましたか?」 イリス「はい、女王様。     この人が、採掘場を氷漬けにして、     氷の魔獣を造り、採掘場内で     放し飼いにしていた魔術師、ミハエルです」 ミハエル「どうも」 マリー「女王様! 今回の一件、     ミハエル師匠を許してあげてください!」 暴風王「・・・師匠?」 イリス「はい。今後、ミハエルをスターダストの     一員に加え、ギルドマスターのマリーの     体調管理と魔術の指導に当たらせ、     監視しようと思っています。     私からもお願いします。どうかお許しください」 サララ「女王様、私からもお願いします。     彼を許してあげてください」 暴風王「ふうむ、師匠、ですか。     現段階では死者は出ていませんが、     会議では軍を向かわせるべきという     意見も出ていますから、私の一存では・・・」 ペトロフ「僕からもお願いします、女王陛下」 暴風王「・・・フフ。貴方が言うのなら     仕方がありませんね。     今回の一件、反省していますか?     氷の魔術師よ」 ミハエル「してます」 暴風王「・・・いいでしょう。     スターダストで今後、彼を管理しなさい」 マリー「女王様! ありがとうございます!」 暴風王「いいえ。可愛い息子の頼みとあれば、     仕方がありませんからね」 ペトロフ「あっ、母上!      どうしてバラしちゃうんですか!」 三人娘『えっ?』 暴風王「ペトロフは私の息子なのです」 マリー「ということは、王子様ってこと!?」 ペトロフ「やめておくれよ! 僕、『王子様』って      呼ばれるのが嫌いなんだ!」 暴風王「さて、秘密のお話をしましょう。     私は『不死者』の一人なのです」 マリー「ふししゃ?」 暴風王「イリスさん、説明していただけるかしら」 イリス「あ、はい。わかりました。     『不死者』は、老衰、病気、その他外的要因、     つまり怪我などでは死なない『不老不死身』の生命体。     四大陸の王、火炎王、流水王、暴風王、土砂王は     『不死者』として大陸に長く君臨し、     大陸を統治している、といわれているよ」 暴風王「よくできました」 暴風王がにっこりと微笑む。 暴風王「私は『不死者』。名をスミレ。     この大陸は私が永遠に統治します。     つまり、ペトロフは不要な存在。     邪魔と言って差し支えないでしょう。     ペトロフに王位を継がせるつもりはありません。     ですから、元侍医であった信頼のおけるジンに     ペトロフを託し、自由奔放に旅をさせることに     決めたのです。年頃の近い貴方達と一緒なら、     きっと楽しい旅になるでしょう」 お紺「こりゃ参った。女王様も『親』なんだねえ。    あたし達はペトロフちゃんの護衛として    選ばれたってわけかい」 暴風王「その通り。フフ、失望しましたか?     さて、どうですペトロフ?     楽しい旅になりそうですか?」 ペトロフ「はい! 母上!」 暴風王「では、スターダストよ。     次は『水の国』に向かいなさい。     最近、魔獣族が激増しているようです。     活躍を期待していますよ」 マリー「はい! 女王様!」 次の行き先が『水の国』に決まった。 序盤が終了。仲間の大半はここで揃う。 仲間は武器を四種類扱えるのと、 防具は重or軽装備を選べること、 ステータスやスキルで戦術の幅が広がるはず。 同じヒーラーのイリス、ステファン、ジンでも、 イリスはバフ(能力アップ)をかけられたり、 ステファンは異常状態の治療(毒など)ができたり、 ジンはどちらもできるがステータスと素早さが低め、など。 作者がプレイしたRPGでは『後攻ヒール』という戦略があり、 →素早さの高いキャラで行動(回復も含む) →→敵の行動(攻撃されてHPが削られる) →→→後攻ヒール(回復して立て直す) というのが面白そうなので、取り入れたいと思う。 マップに居る敵(この世界では主に知能の低い魔獣)は、 何故お金やアイテムを持っているのか? 四大陸の通貨は共通になっている。 魔獣は冒険者を返り討ちにすることでお金やアイテムを得る。 そのお金やアイテムを目当てにやってくる冒険者をまた返り討ちにする。 これを繰り返すことで食事(人肉や冒険者が持っている食料品)や、 巣材、その他様々な用途に使える道具を手に入れることを目的にしている。 稀に冒険者自体を苗床にするような魔獣も存在する。 言語について。 竜語、妖精語、人間語、魔獣語が存在する。 現在は人間語が公用語となっている。 また、人間族のみ『手話』が存在する。これは指の本数の問題。 種族のそれぞれの寿命。 竜族 : 2  ~ 250歳 妖精族: 5  ~ 200歳 人間族: 10 ~ 120歳 魔獣族: 1  ~ 100歳 魔獣族と妖精族は多様性に富むので種族ごとに幅が広い。 竜族の『2歳』は竜の里の竜達の寿命の最低値。異常な数値である。 学者達の永遠の議論『ワニは竜か魔獣か?』 学者A「トカゲが魔獣なんだからワニも魔獣だろ!」 学者B「ワニの強さは異常! 竜族に分類される!」 学者C「水陸両用の完璧な生き物! 竜族に違いない!」 学者D「死んだら土になるんだから魔獣だろ!」 学者A・B・C・D『お前はどう思う!?』 当事者ワニ「僕に聞かれても・・・わかんないよぉ・・・」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!