第三話 早坂さん、四季を楽しむ。

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「私、秋也さんがらんぷやで働いてる姿を見るのが好きなんです。技術的なことは何もできないけど、それ以外のことで支えていきたいって思ってるんです」  勇ましいことを言ったところで、いつも臆病な自分に何ができるだろう。そうは思うけれど、秋也が一歩進むなら、奈江も一歩進まなきゃいけない。そうやって歩んでいける人と生きていきたいと誓ったのだから。 「俺さ、オーダーメイドランプの販売をやりたいんだ。今まで出会った仲間たちと試行錯誤はしてきた。これからもしながら生きていく。安定した生活なんてできないかもしれない」  申し訳なさと希望、両方をにじませた表情で、秋也は言う。 「転機って、四季と同じですよね? 人生にも四季があるんだと思います」 「そうかもしれないな」 「これから先、つらいことも悲しいこともいろいろあると思うんです」  秋也とは夏に出会い、秋をともに過ごし、冬をふたりで越えようとしている。 「冬が終われば、春が来ますね」  つらいことのあとには、必ず幸せがやってくると信じている。 「春も、奈江と過ごしたいな」  秋也はしみじみとつぶやく。 「これから先、何度となく繰り返す季節を、奈江と一緒に過ごしていきたいって思ってるよ」 「私も」  信じてる。一緒に過ごせるって。秋也となら、何度だって四季という名の幸せな未来が過ごせるって、信じている。 【第三話 完】
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