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魔女召喚
部屋の中央に魔方陣を描き、四人は東西南北の位置に立った。
鳴里教授は、魔女のローブを羽織ってそれっぽい雰囲気を出している。
「めえ~」
鳴里教授の横にはバフォメットがいる。
不安そうに鳴くバフォメットを鳴里教授が宥める。
「よしよし、怖くないよ」
「めえ~」
「バフォメットは召喚儀式に必要なんですか? 生贄にはしないと言っていましたよね?」
「いるだけで、和むだろ」
「それだけで?」
「大事なことだ」
バフォメットが前脚を折り曲げて落ち着いたところで、鳴里教授が魔女召喚の詠唱を始めた。
「bges, magissa ths diaphthoras. afierono then aionia psyche mia edo. apantisi sten calls mia」
建物の中に禍々しい風が吹き出し、やがて嵐のように激しく渦を巻いた。
ミチルと常岡泰都は、それだけで恐怖に耐え切れず失神してバタンバタンと倒れる。ヨシタカと鳴里教授は、なんとか耐えた。
鳴里教授は、一心不乱に詠唱している。
「akuste these epithymies mia. iii magissa ths diaphthoras」
渦巻く風に乗って、魔方陣の中央に黒い霧が集まっていく。
やがて、姿がハッキリ現れた。ヨシタカが霊視した腐敗の魔女だった。
「腐敗の魔女です!」
「ヨシタカ君、君の出番だ!」
腐敗の魔女は、呼び出されたことに怒っている。ギロリと鳴里教授を睨むと、手のひらを向けた。
「ひい!」
気丈に振る舞っていた鳴里教授だったが、とうとう失神した。
「めえ~」
バフォメットは、心配そうに鳴いた。
(まずい! このままでは鳴里教授が呪われてしまう! 鳴里教授に何かあっては大変だ!)
ヨシタカは、阻止しようと叫んだ。
「待ってください! 勝手に呼び出したことを謝ります! あなたにお願いがあります! 不破ミチルに掛けた呪いを解いて、それをそっくりそのまま岳渕雄介に向けてください! 彼は新宿歌舞伎町に居ます!」
聞き入れてもらえるかどうか分からないが、とにかく伝えなければと、一気に捲し立てた。
腐敗の魔女は、今度はヨシタカに手のひらを向けた。
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