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苛立ちや怒りの彼の表情は過去に見たことがあったけれど、こんな顔は初めて。
一気に私の体から血の気が引いた。
織田さんは罠を仕掛けた側。
真保さんも『パソコンを水没させた』と言ったことで当然協力者。
市川さんはパソコンをカスタムした張本人。
クロネちゃんは今川部長を失墜させるときの資料作成時は他チームで、秘密裏で動いていた私たちのことは知らない。
歌舞伎くんは大阪でストライキをするために奔走した。
……誰?
室内は静まり、メンバーの視線はプロジェクターに映し出された画面の一点へ集中する。
織田さんはパソコンのマウスを持つが、その手は震えていた。
息苦しく、みぞおちが締め付けられ痛くなる。それぞれの早く浅い呼吸が聞こえた。
音に敏感になった耳。
織田さんがマウスをクリックするだけで、圧力で潰されそうになる。
市川さんのパソコンを隠れて触った人の画像が映った。
ターゲット。
織田さんは眉根を寄せ、語気を鋭くして言う。
まるで研いだばかりの刀を突き付けるように。
「……滝川、すべて話せ」
刃先に似た視線をクロネちゃんに彼は刺した。
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