椎名sideⅢ

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 「とにかく、仕事に慣れてくれば大丈夫だ。誰よりも商品知識はあるだろ?お前のおじさんが英才教育したと俺に自慢してるからな」  専務は彼に会社のパンフや業績などを大学時代から教え込んでいたらしい。父は呆れていたが、悪いことばかりではない。仕事は実務だから、それを生かしきれるかはこいつ次第ということだけだ。  義弟は近づいてきて、小声で話した。  「義兄さん。叔父や母のことは気にしないで下さい。父さんの気持ちもわかる。僕は入社して義兄さんの下についてから、どれほど義兄さんがすごい人なのか話を聞いたり実際見たりしてようやくわかった」  「……お前」  「椎名不動産の提携も聞いてます。僕は応援してるから、気にしないで。それと何かあれば言って下さい」  こいつ、大人になったな。俺は感慨深かった。  「気を遣わせて済まないな。仕事だから俺に任せておけ。言っておくが、お前の母親と叔父だけでなく、父さんや俺もお前に期待してる。頑張れよ」  そう言って離れた。  部屋へ戻ると、本郷が来ていた。  「本部長、今少し大丈夫ですか?」
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