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「私、帰るよ」
「え？」
居心地が悪くなったのか、羽原さんは自身のバッグを持ってよろけながら立ち上がる。
「あ、待ってよ羽原さん」
「うるさい。
私はお前らと生きてる世界が違うんだ。
幼馴染だからってしょうもない理由を付けて私を止めようとするな。
ぶっ飛ばすぞ」
いや、急な展開過ぎて未だに僕達が幼馴染であるのがいまいち実感できてないんだけど。
「せ、せめて送ってあげるよ。
今の状態じゃ危ないかもしれないし」
「ふん、それなら翠花でも呼び出しておぶって帰る方がまだマシだな。
いや、それが名案だな。
早速翠花を呼びつけて帰るとしよう」
「ここでも稲津利さん⁉︎
キミは稲津利さんのことを何だと思ってんの？」
「おっぱい」
どこぞのエロガキの受け答えだよ。
「アイツのことだ。
どうせ明日学校休みだから私の家で弟妹達と寝泊まりしてることだろうよ」
へ、へえ。
休日は羽原家にお泊まりに行ってるんだ、稲津利さん。
彼女一人では大変だろうし僕も力になれるなら行ってやりたいな……。
「あ、僕、稲津利さんの連絡先持ってるから呼んであげるよ」
そのままついでに僕も羽原さん家に泊まりに行こうかな……なんて。
ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ……ｶﾞﾁｬｯ
早速稲津利さんの携帯に電話をかけてみると、なんとワンコール目で電話が繋がった。
なんだか稲津利さんっぽくない反射神経だな……。
「あ、えっともしもし稲津利さん？」
『……』
電話にかかったのはいいけど、全然相手からの返事がない。
どうしたんだろう。
『もぉしぃもぉしぃい？』
「ぎぃやぁあああっ」
ノイズなのか、違う次元から現れたような声が突然僕の耳元に届いた。
こんな危ない声を発せれるのは、あの人しかいない……！
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